最近気になる用語 267
 18歳投票権 
 
学会誌「冷凍」に掲載された記事を集めました。
当時の記事をそのまま掲載していますので古い内容や、当会の専門分野とは無関係な内容もあります。
また、お問い合わせに対しては答えられませんのでご了承下さい。


 2015年の公職選挙法の改正に伴い,今回の参議院選挙から18歳以上が投票可能となっ た.選挙権年齢の引き下げは 日本国憲法が制定された1964年以来のことである.この度の改正により,18歳,19歳 の約240万人が新たに選挙権を得 ることになった.改正の目的は,高齢化社会に伴いより多くの国民に選挙に参加して もらい世代間のバランスを維持す るとともに,早い年齢から政治に関心をもってもらうようにという狙いがある.近年 の投票率は低下傾向にあり,前回 の参院選では全体で 53%であった.年齢別にみると高齢者の投票率が高く,若年層に なるほど低下する傾向がある(図 参照).若い人ほど「選挙へ行ったってどうせ変わらない」という政治的関心が低い ことが原因といわれている.また, 投票権は世界 191の国のうち9割近くが18歳以上となっており,日本のような20歳以 上というのは少数派であった. このような状況のもと,高齢化が進む社会により多くの若者の意見を取り込んでいく ために,今回の参院選より“18歳 投票権”が実施されることとなった.
 さてその一方で,これまで日本では 20歳以上が“成人”として扱われてきた.これ は民法上規定されている事項であ る.今現在,18歳は未成年者であり,社会通念としてもそのほうが一般的であろう. “成人”は社会的自立を求められ, 親権の対象から外される.そのことによるデメリットも多いともいわれている.ま た,飲酒や喫煙も“成人”からであ る.年齢が早まることは健康上好ましくないことは想像に難くない.“18歳投票権” は18歳も“成人”として扱うのか, あるいは法規上なにか制約を設けるのか.この課題については今後も議論する必要が ある.(ちなみに,飲酒や喫煙に関 しても 18歳以上としている国が多いようである)
 このように,18歳投票権は単純に若者の政治参加という面をもつだけでなく,様々な 意味合いでの側面もある.とも あれ,今回の選挙でどれくらいの若者が政治に関心をもってくれたであろう.また, すでに成人として選挙権を得てい る我々にとっても,今一度投票する意味を考える機会になったのではなかろうか.
参考:総務省ホームページ「18歳選挙」

「最近気になる用語」
学会誌「冷凍」への掲載巻号一覧表

学会誌「冷凍」に掲載された記事を集めました。
当時の記事をそのまま掲載していますので古い内容や、当会の専門分野とは無関係な内容もあります。
また、お問い合わせに対しては答えられませんのでご了承下さい。