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 ワイヤレス給電(Wireless Energy Transfer)  
 
学会誌「冷凍」に掲載された記事を集めました。
当時の記事をそのまま掲載していますので古い内容もあります。
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 スマートフォンなど携帯電子機器の高性能化と普及が急速に進む中,電源コードをつながなくても充電ができる「ワイ ヤレス給電」に注目が集まりつつある.電動歯ブラシや電気シェーバーなどではかなり一般的になってきたが,最近はよ り大きな電力も供給できるようになってきており,さらに2010 年には世界共通の規格として国際標準規格「Qi」(チー) が策定されたことで,この技術を用いた製品が近年急速に普及しつつある.
 技術的には「電磁誘導型」が一般的で,スマホにワイヤレス給電をする場合,まずスマホを置く機器である送電部(送 電パッド)のコイルに電気を流して発生させた磁場を受電部(スマートフォン側)のコイルが受け取り,また磁場から 電気に再変換してスマホのバッテリーに充電するしくみとなっている.
 これは「ファラデーの電磁誘導の法則」を使ったもので,コイルに棒磁石を出し入れして電流を流すのとは逆に,コ イルに電流を流して磁場を発生させる原理を応用している.
 また,実際はマイコンが電気だけでなく情報も送信することで個体情報を認識させ誤給電を防止したり,充電状態を 伝えることで無駄な電気を流さないようにコントロールしている.

 近接で高効率の電力を安定的に送れる「電磁誘導型」に加え,中長距離での送電ができる可能性を秘めた「磁界共鳴 型」という方式がここ数年で新たに提案されており,この技術が今後さらに進化すれば,現在より離れた場所にも送電 できるようになり,家中の電気製品をワイヤレス化するなど活用用途の拡がりが期待されている.今後の普及が見込ま れる電気自動車を信号待ちの停車中に充電するなど,ワイヤレス時代到来もそんなに遠い未来ではないかもしれない.
参照:東芝ライフ No.424
 
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