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METROS
                             

 天気予報などで頻繁に利用されるデータとしてアメダス (AMeDAS:Automated Meteorological Data Acquisition System)がある。
これは、風向・風速、気温、降水量、日照などの観測を自動的に行なうシステムである。 風向・風速、気温、降水量、日照などの観測を自動的に行なうシステムである。 風向・風速、気温、降水量、日照の4種目の観測所は全国で焼く840ヶ所、降水量のみの 観測所は約480ヶ所設置されている。
 これに対し、東京都区部のデータを高密度に収集するためのシステムが、METROである。 東京都環境科学研究所は、東京都立大学(現、首都大学東京)と共同で都内120地点に気象観測機器を設置し、 気温や風などの連続観測を開始した。この気象観測網は、 METROS(Metropolitan Environmental Temperature and Rainfall Obserfvation System:首都圏環境温度・ 降雨観測システム)と呼ばれ、さらにMETROS20とMETROS100の2種類の異なる観測システムに分けられる。

METROS20は、東京23区内20ヶ所のビルの屋上部などで、風向・風速・気温・湿度・降水量・気圧を 自動的に観測するシステムである。10分間隔で計測されたデータは、1時間に1回、電子メールによって 東京都環境科学研究所と都立大学(現、首都大学東京)に配信される。
 METROS100は、東京23区内100ヶ所の小学校の百葉箱内に設置された小型の温湿度データロガーによる 観測システムである。ロガーには10分間に一度、温度、湿度データが記録され、このデータを約45日ごとに 人手で回収・整理する。観測地点は約2.5kmメッシュに1地点の割合で配置されていて、時間的にも空間的にも 非常に高密度なデータが得られる。
 東京では過去100年間の間に地球温暖化に伴う気象上昇(全地球平均:約0.6℃)の約5倍にあたる、約3.0℃の 気温上昇が観測されている。国内のほかの大都市の平均気温の上昇が2.4℃、中小規模の都市では1.0℃であること からも東京における都市の温暖化の進行が明らかであることがわかる。
 ヒートアイランド現象は、局地性の高い現象である。それに関連する気温や風邪、降雨などは、23区内でも 地域差が大きく、正確な実態把握や気温上昇、集中豪雨などの発生原因を解明するためには、多数の地点の詳細な気象 データが必要である。また、都市気候数値モデルなどを用いてヒートアイランド対策の効果を予測する場合にも、 予測条件の設定や、予測結果の検証を行なうために、詳細な気象観測データが必要になる。しかし、従来こうした 気象予測はほとんど行なわれていなかった。
 このMETROSはヒートポンプ現象以外にも、真夏日・熱帯夜の増加、短時間豪雨、といった都市独特の気象現象 の解析に役立つものと考えられている。
日本の大都市の気温上昇量(100年あたりの上昇量:℃/100年)
観測地点 使用データ開始年 平均気温(年) 平均気温(1月) 平均気温(8月) 日最高気温(年平均) 日最低気温(年平均)
札幌 1901 +2.3 +3.0 +1.5 +0.9 +4.1
仙台 1927 +2.3 +3.5 +0.6 +0.7 +3.1
東京 1901 +3.0 +3.8 +2.6 +1.7 +3.8
名古屋 1923 +2.6 +3.6 +1.9 +0.9 +3.8
京都 1914 +2.5 +3.2 +2.3 +0.5 +3.8
福岡 1901 +2.5 +1.9 +2.1 +1.0 +4.0
大都市平均 - +2.5 +3.2 +1.8 +1.0 +3.8
中小都市平均 - +1.0 +1.5 +1.1 +0.7 +1.4