京都メカニズム
京都メカニズム

   地球温暖化の防止を目指す気候変動枠組み条約の第9 回締約国会議(COP9)が,平成15 年12 月1 日からイタリアの ミラノで行われた.先進国の温室効果ガスの削減義務を定めた京都議定書の発効時期のめどは立っていないが,議定書 の運用ルールのうち未決着部分が合意された. 京都メカニズムとは京都会議で認められた排出権取引,共同実施,クリーン開発メカニズムの三制度のことである. 以下に各々の内容を示す.
  
(1)排出権取引(排出量取引)(ET : Emissions Trading)
  排出権取引は,温室効果ガス排出許可量(排出権)を割り当てられた「付属書国」(温室効果ガス削減の数値目標を 持っている国)間において,その排出権の取引を許す制度である.国際的な温室効果ガスの排出抑制に適用する場合, 国際的な排出権売買市場を創設し,同様の国際的な取引の動機と国際的な資金移転メカニズムを作り出すことになる. COP7 マラケシュ会議において,排出権購入量については上限を設けず,排出権販売量については,各国の排出枠の 90 %または直近の排出量のいずれか小さい方までとなっている.
  
  (2)共同実施(JI : Joint Implementation) 共同実施は,複数の「付属書国」が共同して,温室効果ガス削減のプロジェクトを行った場合,そのプロジェクトに 伴う削減量を両国間で享受できる制度である.「付属書国」はOECD 諸国のほかに,旧ソ連,東欧圏を含むため, OECD 諸国は主に旧ソ連,東欧圏を対象とした共同実施プログラムを検討している.
  
  (3)クリーン開発メカニズム(CDM : Clean Development Mechanism)
  クリーン開発メカニズムは,京都会議において提案され,合意された制度である.これは,「付属書国」と「非付属 書国」(数値目標を持たない国)の間で温室効果ガス削減のプロジェクトを行った場合,一定の認証手続きを経て削減 量を両国間で享受できる制度である.このためCDM は,「付属書国」から「非付属書国」への技術,資金移転による南 北格差の縮小と,環境改善を同時に行う国際的な枠組の一つである.

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